「下請業者」から「中小受託事業者」の名称変更は本当に必要?

「下請業者」から「中小受託事業者」の名称変更は本当に必要?

公正取引委員会と中小企業庁は「下請け」という法律上の名称を見直すという方針となった。
「下請け」という表現が、発注業者と下課け業者の間で上下関係が生まれるというのが原因のようだ。

これまで「下請け」という形で仕事を受注して長年にも渡り経営してきた会社は決して少なくない。
このような会社が「中小受託事業者」と呼び名を変えたところで何が変わるのだろうか。
そのことで受託金額が変わったり、待遇が変わるとは到底思えない。
これまでの仕事の関係で「うちの会社はもう下請けではないからおたくの会社の言いなりにはなりませんよ」なんて言う企業はまずないだろう。

これまでも取引のある企業間で「下請け」はイメージ良くないので「パートナー」や「協力業者」と呼ぼうなどの取り組みはそれぞれあったはずだ。
それを中小企業庁からのお達しで呼び名を変えるというのもなんとも滑稽としか思えない。もちろん下請法の改正を見込んだことだろうが、その改正が先なのではないだろうか…としか思えない。その後の「下請法」→「中小受託事業法」に名称を変えるのであれば納得はいく。

「下請業者(中小受託事業者)」の現状

これまでの発注業者から仕事がなくなると困る。
それは「下請け業者」と位置付けられている会社にとっては当然のことなので、発注業者に頼るべきではないとは言えない。

私も会社経営時代、設立当初はほとんどの仕事が下請けでした。 微力ながらでも元請けでの仕事を増やしていき、最終的には下請けの仕事は2割程度となりましたが、それでも発注業者はとてもありがたい存在でした。

公正取引委員会の今回の名称変更の意図は「企業が大小・上下関係なく平等な世界」を実現させたいということはわかっています。
このことについては私もとても賛成です。 この実現こそがGUT creationsのビジョンでもあります。

しかしなかなか簡単にそうはいかないのが会社間の関係であり、経営におけるもどかしさにもなるかと思います。
中小企業庁は現場も知らず(もちろん理解していることは承知しています)簡単に言っているように聞こえてしまいますね。。

「下請業者(中小受託事業者)」がするべきこと

では、これから「下請業者」としての現状をどう打破していけばよいのでしょうか?
一つの方法として、元請けを増やすことが挙げられますが、業種によっては簡単なことではありません。
そんなことは言われなくてもわかっていると思われるでしょう。
そこで提案したいのは、「新たな事業」を立ち上げることです。

新たな事業を始めるのは容易ではありません。
しかし、小さなことから始め、自社独自のアイデアや工夫で商品やサービスを生み出すことが重要です。
最初は大きな利益を求めずともよいのです。大切なのは「下請け」以外の事業を持つことです。

私は経営コンサルタントではありませんが、ブランドプランナーの立場から申し上げると、「下請け」だけでは企業の価値が見えにくくなり、上下関係の「下」のままでいるリスクがあります。
大切なのは、その企業の「価値」を明確にすることです。
たとえ下請けが主業務であっても、どのような理念のもとにその業務を行っているのかを伝えることがブランディングです。

新しい事業や商品を開発することで、企業の価値を明確に示すことができます。
そして、それが将来に向けた「上下関係のない対等なパートナーシップ」を築く一歩になるでしょう。

中小受託事業者の今後

企業ごとに事情や背景が異なることは理解しています。
その上で、この「下請業者」から「中小受託事業者」への名称変更は、「本当に意味があるのか?」という疑問を持ちながらも、小規模事業者が経済の中心として活躍していく世の中を目指す第一歩だと感じています。

これまで「下請けだからホームページは不要」という企業が多くありました。
確かに、集客を目的としない場合、会社概要だけで十分だという考えも理解できます。
しかし、もし新たな取り組みを始めたり、新商品を開発したり、元請けを増やそうと考えたりするのであれば、企業のPRは必要不可欠です。
「ブランディング」を軸に自社を見直す良い機会かもしれません。
ブランディングなんてよくわからないし、小さな企業には必要ないとお考えであればこちらもご参照ください
小規模事業者にこそ「ブランディング」は大切なものだと考えます。

「うまくいくかわからないから予算が取れない」という気持ちも十分に理解できます。
そのような企業をサポートするため、GUT creationsでは格安での支援を提供しています。
「ただの下請け企業から脱却したい」という意欲のある企業様は、ぜひご相談ください。